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ココロノトゲ

これは1998年3月・・・療育センター年度末の文集に載せたものです。

 ~長女・Keyのこと~

我が家の子どもたちは、超マイペースな成長を送っている長男Kai(3歳)と、片言が出始めトコトコと歩きまわるようになった二男Renren(1歳)と、とても頼りがいのある長女Key(7歳)の3人である。

Keyは弟思いのいい姉として育っている。4歳の時にダウン症の弟が生まれてから、実によく弟の面倒をみてくれる。まるで保護者のように・・・。私はKeyに保護者になってほしいとは思わなかった。でも結局、私がそうさせてきたのだろうと思った。Keyが弟をかばい、思いを代弁する時・・・その後には決まって賞賛が待っていた。「えらいね。いい子だね。優しいね。」大人たちが自分に何を求めているか、Keyは極度に敏感だった。大人たちが求めているとおりに振る舞う事で得られる賞賛は、幼い彼女にとっても十分気持ちの良い事だったに違いない。そしてそのように頼りになる姉は、私にとっても実にありがたく・・・都合が良かった。

Kaiの悠々とした暮らしぶりを見て、人間勉強ができるできないじゃないんだと、思っていたつもりの私は、Keyが計算や漢字、はたまたピアノの練習でつまずいただけで、いともあっけなくキレてしまう。なぜ間違える?なぜできない?と、問いつめる。鬼と化した私に怒られながら涙をためて一生懸命に練習するKey・・・。私はいったいKaiから何を学んだというのだろう。何も学んでなどいない事をKeyの涙があらためて教えてくれた。私はKaiとKey二人分の期待をKeyの小さな肩にのっけてしまっている。
出来ない事がたくさんあるKaiを育てるかたわらで、出来ない事などあってはならない!と姉のKeyには強要してしまう。私は自分の傲慢さを自覚していた。このままじゃいけない!と判っていた。それなのに変われない。

私は何を焦っているの?何と戦っているの?何を守りたいの?

もういい子ちゃんロボットはいらない。自分の意見や考えをちゃんと伝えられる人間になってほしい。出来ない事はそのうち出来るようになる。少し待ってみれば?私は自分自身に問いかけながら少しずつ変化していく。Keyも変化していく・・・。

文句や不満も平気で言うようになったし、弟の面倒も気が向いた時だけになった。私にとって好都合のいい子ちゃんではなくなってしまったけれど、Key・・・あなたの涙は私に大切な事を気づかせてくれた。


    *  *  *  *  *


この頃の私はKaiの事や仕事をあきらめた事、Key姉さんと、まるで双子状態の弟たち・・・3人の育児で気持ちが張りつめていたんですね。そのストレスを7歳の娘にぶつけてしまっていた訳です。口を一文字にして涙をいっぱい溜めたKey姉さんの目を見て「アタシ何やってんの?」とものすごく自己嫌悪した事を覚えています。そしてこの頃の事は今も心のとげとして私の中に残っています。

そういえば障害児の兄弟についての講演で心理の先生が言っていた事。
「障害児からみて下の子は心配ない。甘えるの上手だから・・・気をつけるのは上の子。
親の思いどうりに育て過ぎたり、我慢させすぎたりしちゃうからね」って。(それ早く聞きたかったわーーー!)

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by ina_channel | 2011-06-01 17:51 | 子どものこと